お金は幸せになるための「道具」やと思う

子どもたちへ

君たちが大人になるころ、お金について悩むことがきっとあると思います。

何に使うのか。どれくらい貯めるのか。投資はしたほうがいいのか。好きなことへ使うのは、ぜいたくなのか。

お父さんも、今まで何度もお金について考えてきました。

まだ答えが出たわけではありません。それでも、今の時点で君たちへ伝えておきたいことがあります。

お金は、幸せになるための「目的」ではなく、「道具」やと思っています。

お金が多ければ、必ず幸せになるわけではない

お金があれば、できることは増えます。

住む場所を選べる。食べたいものを食べられる。病気になったときに治療を受けられる。学びたいことを学び、行きたい場所へ行くこともできます。

だから、お金は大切です。

ただ、通帳の数字が増えれば、その分だけ幸せになるわけではありません。

健康を崩したり、大切な人との関係を失ったり、自分を嫌いになったりしたとき、お金だけでは元に戻せないものがあります。

お金を増やすことに夢中になって、何のために増やしているのかを忘れたら、本末転倒です。

大事なのは、「いくら持っているか」だけではなく、「そのお金を何のために使いたいか」やと思います。

貯金は、我慢の記録ではなく安心を買うもの

お父さんは、貯金には安心を買う役割があると思っています。

急に仕事ができなくなった。家電が壊れた。病院へ行く必要ができた。誰かを助けたいと思った。

そんなとき、少しでもお金があれば、慌てずに考える時間を持てます。

貯金があるから、嫌なことを何でも我慢せずに済む場合もあります。新しいことへ挑戦するときの土台にもなります。

だから、余ったら貯めるのではなく、最初から少しだけ取り分けておく。

ただし、将来を心配するあまり、今しかできない経験まで全部我慢する必要はありません。

貯めることと使うことのどちらが正しいのではなく、両方のバランスを自分で考えることが大切です。

お父さんも、お金の使い方で失敗してきた

ここまで書くと、お父さんがいつも計画的にお金を使ってきたように見えるかもしれません。

実際は、そんなことはありません。

普段は小さな出費を気にするのに、感情的になったときには大きなお金を使ってしまったことがあります。

貯金や投資をしている一方で、その場の興奮や「取り返したい」という気持ちに負けたこともあります。

言っていることと、やっていることが違う。

お金の問題というより、自分の感情を扱えなかったことが原因だったと思います。

だから君たちには、何かを買う前や大きなお金を動かす前に、一度だけ立ち止まってほしい。

「これは本当に必要なのか」

「今、焦ったり腹を立てたり、取り返したいと思ったりしていないか」

そう自分へ聞くだけでも、避けられる失敗はあると思います。

投資は、早くお金持ちになる魔法ではない

お父さんは、貯金だけでなく投資もしています。

ただし、投資は必ず増える貯金ではありません。値段が下がることもあるし、必要なときに損をしている可能性もあります。

だから、すぐに使うお金まで投資へ回さないこと。短期間で大きく増やそうとしないこと。一つだけに集中させず、長い時間をかけて積み立てること。

お父さんは、そういう考え方を大切にしています。

君たちが将来投資をするかどうかは、君たちが決めればいい。

ただ、「簡単に、絶対に、すぐ増える」と言われたときは、いったん疑ってください。分からないものへ、勢いだけで大切なお金を出さないでください。

君たちの挑戦に使ってほしい

お父さんは、君たちの将来のためにもお金を準備しています。

ただ残高を渡したいわけではありません。

進学したい。資格を取りたい。外国へ行ってみたい。何かを作りたい。失敗するかもしれないけれど、自分で選んだことへ挑戦したい。

そんなときに使ってほしいと思っています。

もちろん、使い道をお父さんがすべて決めるつもりはありません。

君たちの人生は君たちのものです。

でも、受け取ったお金を見たときに、「これは自分の選択肢を増やすためのお金なんや」と一度だけ思い出してくれたらうれしいです。

お金より先に、自分がどう生きたいかを考えてほしい

お金は、人生のいろいろな場面で必要になります。

だから、学ぶことも、貯めることも、増やすことも大切です。

けれど、一番最初に考えてほしいのは、「いくら欲しいか」ではありません。

どんな毎日を送りたいのか。誰と過ごしたいのか。何を大切にしたいのか。どんなことへ挑戦したいのか。

それが少しずつ見えてくれば、お金の使い方も決まってきます。

お金に人生を決めてもらうのではなく、自分が選んだ人生のためにお金を使う。

お父さん自身、まだそれを練習している途中です。

だからこれは、成功した人からの教えではありません。

お金で失敗もしてきたお父さんが、君たちには同じ失敗を少しでも減らしてほしいと思って残す、今の時点での答えです。

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